ブログというもの

 「巷の人もすなるブログといふものを、女もしてみむとてするなり」などと文学的なことを考えたわけではなく、単なる仕事がらみで、期間限定のブログを夏から始めた。そもそも俺は女じゃないし。いや、貫之は男だったか。まあいいや。

 それはさておき、ブログは初体験だったのだけれども、なるほど、話に聞いていた通りえらい操作が簡単である。

 

 たとえばホームページだと、画像付きの新しいページを作成するためには、まず画像加工ソフトでサイズや画質の修正をする。

 次にワープロソフトで文章を打ち、画像をそこにはめ込む。これらはホームページソフトでも出来ることであるが、ワープロソフトの方がはるかに便利で使いやすいのだ。これをHTML形式で一度保存。それをブラウザーでどう表示されるか一度確認。

 最後にホームページ作成ソフトで全体のリンクの確認とアップロードを行う。つまり四つもソフトを使いこなさなければならないのである。ふう。

 

 ところが、ブログは違う。ブラウザーを起動してただそこに文字を打ち込んでいけばいいだけなのである。画像もそのままのサイズでアップロードしても、勝手にリサイズしてくれる。

 背景のテンプレートもおしゃれなものが豊富なので自分でデザインを考える必要もない。

 おまけに、いくらでも後から修正が利くので、気楽にアップできる。BBS(掲示板)のように、一度アップすると、二度と変更不可などということがないのでえらい気が楽である。推敲がまだ不十分な文章でも「まあいいや」ということになる。

 かつてホームページをやっていた人が、ブログを始めると、皆そっちに移行して更新しなくなってしまうのだが、これならばさもありなん、である。

 

 ということで、このホームページの方はここのところ忙しくてあまり更新できていないのであるが、ブログの方は仕事がらみということもあって、けっこうコンスタントにアップしている。

 

 このように良いことだらけのように思えたブログであるが、実はなんとも不便というか使いづらいというか余計なお世話的な機能があって、それには閉口している。

 それは編集画面にログインすると、勝手に昨日までのアクセス数が表示されるというものである。つまり、昨日は何人の人が何回閲覧したか、という分析がなされていて、わざわざそれを報告してくれるのである。

 そんなもの、報告せんでいい。

 世の中にはこの手のアクセス解析をせっせとやるのが好きな人もいるようだけれど、それは好きな人だけがやればいいことであって、知りたくない人間にまでいちいち強制的に教えてくれなくて結構である。世の中にはそういうのを知りたくない人間だっているのだ。

 

 というのも、このアクセス数、日によってけっこう上下の波が激しいのである。

 一応、閲覧してもらうことを目的として運営しているので、数が少ないとやはりがっかりする。

 だからといって逆に、数が多いと変にプレッシャーを感じるのだ。それなりの人が見ているんだから、有用なことや面白おかしいことを書かなければならないのでは、とどうしても思ってしまいがちなのである。

 さらに、何日か更新が滞ると、忘れられないようにこまめにアップしなければ、という焦りも感じてしまう。

 

 つまり、いずれにしてもその「数」に振り回されるのだ。

 

 気障ったらしい言い方になってしまうけれど、俺がこの手のことをやっているのは、自分が書きたい文章を書くことが目的だ。ということは、文章に対してジャッジできるのは自分自身だけ、ということになる。自分の書きたいことをきちんと書き切ったか、ということが判定の基準だからだ。
 職業作家ではないので、 読み手のニーズを考える必要はない。たとえ人が評価してくれたとしても、自分が書きたいことが書けていなかったら意味がないのだ。

 

 ところが、勝手にアクセス数など示されると、なかなかそうもいかない。どうしてもその「数」に流され、色々なことを考えてしまうのだ。

 

 ただ、仕事がらみのブログなので、来年3月には終了する。そうしたら、やっとその数字から解放される。もう二度とそのポータルサイトでブログを開くことはないだろう。

 結局ブログにしてもホームページにしても、この手のものを長く続けるコツは、いい意味で「期待にこたえない」ということではないかな、と思う。

 

 ところで、このホームページでも一応トップにアクセスカウンターを設けている。
 だが、数字はほとんど気にしていない。最初は多少気にしていたが、途中からどうでもよくなってしまったのだ。
 たまに「ああ、なんとなく増えたような気がするな」という程度の認識である。もちろんアクセス解析などやっていない。

 おかげでこのホームページは開設してから7年経つけれど、何のプレッシャーもない。よって、まだまだお気楽に続きそうである。

 

  つれづれ随想録トップへ戻る  管理人室へ戻る  トップページへ戻る