沖縄そば「てぃあんだー」
大学時代の後輩が横浜(横浜市南区通町2-19)で沖縄そばの店をやっているという話を別の後輩から聞いた。
今夏、やはり大学時代の友人である九州のK君が上京、それでは同窓会よろしく皆でその店に行ってみよう、ということで話がまとまり、その沖縄そばの店である「てぃあんだー」まで出かけてみた。
ちなみに「てぃあんだー」という沖縄言葉は直接は「手の脂」を意味し、心をこめて手をかけた料理のことを指すらしい。
鎌倉街道に面した店はこぢんまりとしており、席はカウンター席のみの8席だ。 小さいながらも後輩S君がたった一人で立ち上げ、たった一人できりもりしているのだからたいしたものである。
行ってみてわかったのだが、この辺りはラーメン店の激戦区であった。 その中にあってS君は「沖縄そば」を看板に掲げ、もう4年も頑張っているのである。これはすごいことだ。 |
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メニューは基本的に「沖縄そば」のみ。 けれども、メニューにはのせていないが、各種沖縄料理を客の要望で作ってくれるという。
今回も我々のためにおまかせで料理を色々と出してもらった。
メニューの「こばらそば」というのは、サイズの小さい沖縄そばのこと。 |
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泡盛はこのように豊富な種類を揃えている。 ボトルを入れることも出来、ある程度量を飲む場合、その方が安上がりなのだそうだが、色々な種類を飲みたかった我々はショットで注文する。 |
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もちろんオリオンビールの生もある。400円。 再会を祝して乾杯。 |
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沖縄料理の定番であるゴーヤチャンプルー。 残念ながら豆腐は沖縄豆腐ではない。沖縄豆腐を使うとコスト的に高くなってしまうからだとか。 ただし本土の豆腐でも十分に水気を絞って、炒めても崩れないよう工夫しているとのこと。 |
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沖縄野菜の「うりずん豆」。 切った時の断面が四角いので、本土では「四角豆」とよばれている。 最近は東京のスーパー等でも見かけるようになってきた。 |
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その「うりずん豆」をチャンプルーにしてくれた。 豆のさっくりした触感がいい。 |
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鶏肉をタイのグリーンカレーペーストとココナッツミルクで炒めた料理。
「沖縄料理でもグリーンカレーペーストを使うんだ!」と驚いて尋ねると、 「いえ、これはタイ料理です。」とニッコリとS君。 ガクッ。 |
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カウンター越しの厨房で腕をふるうS君。 さまざまな職を経験しつつ金をためてやっと夢を実現させた。 この店の開店の為にわざわざ沖縄まで行って、現地の料理学校に通いつつ、料理店で働いて一年以上料理の腕を磨いたのだという。 ただ、その時に働いていた料理店は「反面教師」になった、と語る。何でも味付けを化学調味料に頼りすぎていたのだと。
だから、この「てぃあんだー」では化学調味料は一切使っていない。
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鶏肉のグリーンカレーペースト炒めの残り汁を使って沖縄そばの麺を炒めたタイ風味のやきそば。 グリーンカレーペーストとココナッツ風味の沖縄麺という意表をつく組み合わせだが、これが絶品だった。 |
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泡盛に漬け込んだイラブー(エラブウミヘビ)。 店ではイラブーの燻製を一匹買ってきて、時間をかけて戻し、テビチ(豚足)や昆布とともに煮てスープをつくることがあるという(要予約)。 イラブーそのものが高価な上に、おそろしく手間がかかるので、普通はそのスープが一杯2,500円にもなってしまうとか。 ただし今回は、前回作ったスープの残りをストックしていたものがあるため、それを我々のため安価でふるまってくれることになった。 |
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これがイラブー汁。身こそ入っていないものの、イラブーのエキスが存分に味わえる。
イラブーは薬膳として滋養強壮にいいらしい。ちょっとカツオに煮た魚介系風味のダシなのだが、力強い味だ。これは利きそうである(何に?)。 |
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看板商品の沖縄そば(これはサイズ小さめの「こばらそば」)。
この店の沖縄そばは首里そばの流れを組むとかで、スープは上品であっさり。ただしすごくいいダシが出ている。 麺はモズクを練りこんだコシの強いタイプで、これはわざわざ沖縄から取り寄せているものだ。 |
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ジューシー。 昆布等を炊き込んだ沖縄風の炊き込みご飯だ。 |
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お薦めの一杯を飲ませてほしい、という我々のわがままなリクエストにS君が出してくれたのがこれ。 奄美の黒糖焼酎「目母路志(まぼろし)」。 奄美の日本復帰50周年を記念して1,000本のみ発売の限定品で、16年も熟成させたという逸品。 口に含むとまろやかな甘みがひろがり、アルコール臭さを全く感じさせない。いやはやこれは旨い。
これをショット1,000円で出しちゃって、S君、本当に利益はあがるのか? |
以上のように好印象の店だったのだが、ただ何故かエアコンが稼働しておらず、なおかつ目の前で火を使っているカウンターキッチンの店なので、とても暑かった。S君は「沖縄の暑さを感じてもらおうと思って……」とコメントしていたが、たぶんエアコンが故障していたのであろう。にもかかわらず、次々に常連と思われる客が入れ替わりにやって来たのである。
後日、インターネットで「てぃあんだー 横浜」で検索したところ、出るわ出るわ、かなり評判になっているみたいである。やったね。これだけ評判になっていれば店も安泰であろう。
同窓の人間が頑張っているのを見るのは気持ちのいいものである。