牛肉の塩釜焼き

 キャンプ、というとバーベキューやカレーが定番だが、せっかく野外で料理をやるのだから、こういう機会に野外でないと出来ないような料理にチャレンジしたいものである。

 ということで、昨年は「乞食鶏」を作り、なかなかに好評であった(けれども、料理に集中して資料となる写真があまり取れず、残念ながらここでは紹介できなかった。料理しながらの撮影って大変なのだ!)。

 そして今年のキャンプでは「牛肉の塩釜焼き」にチャレンジしてみた。「塩釜」とは、材料を塩で包み込んで焼く調理法である。鯛などの魚を包み込んで焼く料理が有名だが、これを牛肉でやってみようというわけだ。

 ところで、屋内ならば温度調節のできるオーブンが使えるが、野外なのでダッチ・オーブンを使うことになる。だが、ネット検索で調べても、ダッチ・オーブンでの牛肉塩釜に関して、詳しいレシピが書かれているページは極めて少ない。従って、今回全くの試行錯誤に近い形での挑戦となった。さてどうなることやら!?

 

 和牛1キログラム。本当はサーロインかリブロースといきたかったが、予算の都合で肩ロースとなった。

 それでもこれで約5,000円する。失敗したときのことを考えるとオソロシイものがある。

 

 天然塩2キログラムに卵白2個分を入れてこねる。

 それをまずダッチ・オーブンの下に敷き、その上に牛肉を乗せて、さらに肉全体を包んでいく。

 塩が染み込み過ぎないように、肉に月桂樹の葉を適当に貼り付けて、その上から塩で包み込むことにした。

 完全に包み終えたところ。

 全体的に塩の層をもう少し厚くしたかったが、塩が2キロではこの程度が限界であった。

 ダッチ・オーブンに蓋をして直火にかけて焼く。

 ダッチ・オーブンはこのように蓋の上にも炭を乗せることによって、全体を包み込むように焼くことが出来る。

 

 どれ位焼くか?「25分位で。」「いや30分位は……」という二つの意見が出たので、中をとって27分焼くことにした。

 また、火から下ろした後、同じ時間だけ蓋を乗せたまま蒸らして、肉の中にしっかりと熱を入れていく。

 

 さて、時間になって「どれ」とばかりにダッチ・オーブンの蓋を開けると……、

 がーん!!

 塩釜にヒビが入って、肉が露出してしまっているではないか! しかし今更もうどうすることもできない。

 塩の殻をはがしていく。いい香りが立ち上ってくる。

 外から見る限りは大きな失敗はなさそうだ。しかし問題は中身である。

 そこで、いよいよ切ってみることとする。

 

 

 

 やったー! 中心部にはやや赤みが残っているものの、その他の部分はほぼきれいに火の通ったピンク色になっている。

 ステーキでいう「レア」の状態である。

 

 皿に盛り付け、東京から作って持ってきた特製ソースをかけて、完成。

 ただ、端っこの方の、塩に接していた部分は、塩のいい味がしみこんでいて、ソースなしでそのまま食べても美味しかった。

 

 

 

 さて、「ウマイ!」「おいしい!」と全体的に好評ではあったのだが、「もう少し火が通っていた方が……」という声も少なくなかった。

 ステーキで言えば、「ミディアムレア」か「ミディアム」くらいまで火を入れて欲しかった、ということであろう。

 実は製作者ももう少し中まで火を通したかったのだが、そうならなかったのである。これは、おそらく塩釜にヒビが入ってしまったため、塩の中で十分に蒸されなかったことが原因であろうと思う。

 このような失敗をふせぐには、塩釜をもっと丈夫につくるしかない。塩を3キロに増やし、卵白も5〜6個ぶんくらい使わなければ駄目であろう。

 ただ、そうなるとを使用後に捨ててしまう天然塩が3キロということになるし、卵白使用後の多量の卵黄の処分をどうするか、といったこともついつい考えてしまう……豪快な料理を作ろうという人間が、こういうケチ臭いことを考えてはいけないんだろうけど。

 

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